自治体DXという言葉の、その先にあるもの

ニュースやビジネス系のメディアで、「自治体DX」という言葉を目にする機会が増えました。IT・システム関連の仕事をしていることもあり、行政の現場で実際に何が起きているのか、少し整理してみたくなりました。

自治体DXが目指しているもの

総務省が定める「自治体DX推進計画」では、住民記録・税・介護保険といった主要な業務システムを国の標準仕様に合わせ、共通のクラウド基盤(ガバメントクラウド)へ移行することが柱の一つとされています。目標としては、2026年度末までの移行完了が掲げられています。

全国1,700以上の自治体が、これまでそれぞれ個別にシステムを構築・運用してきた経緯があります。それを共通の基盤に置き換えるという取り組みは、規模としてもかなり大きなものだといえそうです。

現場で起きていること

システムの移行には、相応のコスト・人員・ノウハウが必要になります。特に人口の少ない自治体では、これらの確保が難しいという声が報じられています。

デジタル人材の不足も、多くの自治体に共通する課題として挙げられています。データサイエンティストやシステムエンジニア、セキュリティ専門家といった専門人材が不足しており、小規模な自治体では情報政策の専任担当者すら置けないケースもあるようです。

少し話が広がりますが、こうした人材不足は自治体に限った話ではなく、労働市場全体に共通する構造の一部でもあるようです。有効求人倍率を見ると、一般事務のような職種は低い水準にとどまっている一方、技術系・現場系の職種の多くでは高い水準が続いています。事務職の人手が比較的足りている一方で、それ以外の多くの職種で人手不足が続いているという偏りが、デジタル人材の確保をより難しくしている背景の一つなのかもしれません。

規模による差

同じ「自治体DX」という取り組みでも、大規模な自治体と、人口の少ない過疎地域の自治体とでは、予算や人員の制約の重さがかなり違ってくると考えられます。

こうした差を埋めるための支援策も用意されています。たとえば総務省の「地域情報化アドバイザー制度」は、情報通信技術やデータ活用の専門家を無償で自治体に派遣する仕組みです。ただ、制度自体を知らなければ活用のしようがない、という面もありそうです。

これから

今後は、自治体単独での対応だけでなく、民間企業や外部人材との連携が一つの鍵になるという見方が、業界内でもよく語られています。

制度がどう運用され、実際に自分の暮らす地域にどう影響していくのかは、まだ様子を見るしかない部分が多いというのが、今のところの実感です。

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