前回はサイバー攻撃という切り口で、中小企業が備えておきたいリスクについて書きました。ただ、備えが必要なリスクは、それだけではありません。今回は、地震や台風といった自然災害への備えに関する国の制度を調べてみました。
事業継続力強化計画という制度
2019年の中小企業強靱化法により設けられたのが、「事業継続力強化計画」の認定制度です。中小企業が策定した防災・減災の事前対策に関する計画を、経済産業大臣が認定するという仕組みです。
BCP(事業継続計画)という言葉を聞いたことがある方も多いと思いますが、本格的なBCPは策定の負担が大きいとされています。事業継続力強化計画は、対象を自然災害リスクに絞り、取り組みやすくした「BCPの入門版」という位置づけのようです。
計画に盛り込む内容
計画には、おおむね次のような項目を記載します。
- ハザードマップ等を活用した、自社拠点の自然災害リスクの確認
- 発災時の安否確認・避難といった初動対応の手順
- 人・モノ・カネ・情報を災害から守るための具体的な事前対策
- 訓練の実施や計画の見直しなど、実効性を確保するための取り組み
特別な様式や専門知識が必須というわけではなく、自社にとって必要で、取り組みを始められる項目を記載する形のようです。
認定を受けるメリット
認定を受けると、税制優遇や金融支援に加えて、ものづくり補助金やIT導入補助金など一部の補助金で申請時の加点対象になるとのことです。認定を受けた企業だけが使える「認定ロゴマーク」もあり、名刺やホームページに掲載することで、防災・減災への取り組みを対外的に示せるようです。
また、日本中小企業診断士協会連合会が、認定を受けた企業を訪問して計画のブラッシュアップを支援する取り組みもあるとのことです。中小企業診断士の学習を続けている身としては、こうした形で制度に関わる道もあるのだと、少し興味深く感じました。
備えの一例として
計画に盛り込む「モノを守る対策」の一つに、停電への備えがあります。実際に、北海道のあるクリニックが、地震によるブラックアウトの際、非常用電源(蓄電池とインバーターの組み合わせ)を使って電子カルテや医療機器を止めることなく診療を継続できた、という事例が紹介されているのを見かけました。
過疎地域では、災害時の復旧支援が都市部より届きにくいという事情もあるかもしれません。停電時にも最低限の業務を止めない、という備えは、事業規模を問わず検討の価値がありそうです。
自治体としてできること
地域の事業者に対して、こうした認定制度の存在や、加点対象になる補助金とのセットでの活用法を周知するという関わり方もありそうです。認定は経済産業大臣が行いますが、申請自体は事業者自身で進められるため、自治体としては情報提供の窓口という役割が中心になりそうです。
調べてみて感じたこと
サイバー攻撃も自然災害も、「起きてから考える」のではなく、起きる前にどれだけ備えられるかが問われるという点では共通しています。前回・今回と調べてきて、中小企業向けの備えの制度は、思っていたより体系的に整っていると感じました。
参考
- 中小企業庁「事業継続力強化計画」

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